曲が仕上がるって、どういうこと?

練習方法

こんにちは、いのうえちづよです。

ピアノを始めてしばらくすると、こんな悩みに出会うことがあります。

 

さくらさん
さくらさん

あたし、譜読みが意外とできる方で、譜読みが終わると、すぐ弾けちゃうから……飽きちゃうんですよね〜。

 

実は、譜読みができた=曲が仕上がった、ではないんです。

今日は、“曲を仕上げる”ために欠かせない、もう一歩進んだ練習のコツをご紹介しますね。

曲が仕上がるって、どういうこと?

譜読みや部分練習、通し練習などの「基本の練習」はもちろん大切です。
でも、そこまでできるようになったら、次のステップに進んでみませんか?

次のステップは……

仕上げの練習=一つの音に真剣に向き合う

です。それは“味わいながら練習する”ような感覚です。

仕上げの練習って何をするの?

「曲を素敵に弾きたいな」「このフレーズをもっと表情豊かにしたい」
そんな気持ちが出てきたら、仕上げ練習のチャンスです。

以下の3つの視点を持つことで、演奏が一気に深まります。

1. 曲の背景を知る
2. 作曲家の思いに触れる
3. 音を“出す前”から意識する

1. 曲の背景を知る

たとえば、バッハの曲は元々パイプオルガンで演奏されていました。
パイプオルガンは、音がずっと鳴り続ける特徴があります。
そのため、スタッカートが書かれていなくても、音を少し切るように弾くことがあるんです。

2. 作曲家の思いに触れる

「マズルカ」や「ワルツ」など、タイトルに含まれる言葉からヒントを得ましょう。
ブルグミュラーの曲のように、物語性があるタイトルのときは、情景を思い浮かべながら弾くとぐっと味わいが増します。

3. 音を“出す前”から意識する

鍵盤を押した瞬間、もうその音は戻せません。
だからこそ、音を出す前から、すべてを整えておく必要があるのです。

  • 手の構え
  • 体のバランス
  • ペダルの足の位置
  • 指づかい

すべてが一音の響きに関わってきます。

練習の具体例:たった1小節を丁寧に

レッスンでは、生徒さんに

「今週はこの1小節だけ練習してきてね。他は練習しなくて大丈夫」

と伝えることもあります。

そのくらい、1〜2音にじっくり向き合うことには価値があります。

たとえば“ファ”の音。
そのたった1音を、何度も何度も打鍵して、自分の「理想の音」に近づけていきます。

すると自然に、耳が育ち、指の感覚が研ぎ澄まされてきます。

プロはどうしてる?

 

はなちゃん
はなちゃん

プロのピアニストの人たちって、毎回そんなふうに細かく考えて弾いてるの?

 

いのうえちづよ
いのうえちづよ

ううん、そこまで意識してないかも。というのも、プロはすでに「自分の音」を体に覚えさせているから、自然とできちゃうんだと思う。

でも、そんなピアニストたちも、毎日練習しています。
それは、自分の音をさらに磨くためなんです。

「飽きちゃう」のは、伸びしろがある証拠

もし、練習がつまらない、飽きてしまうと感じたら、それはチャンス!

もしかしたら、“目標”が浅いところにあるだけかもしれません。

「なんとなく弾けた」ではなく、

「自分らしく表現したい」「この曲で伝えたい気持ちがある」

そんなふうに感じるようになったら、練習がもっと面白くなりますよ。

レッスンに通う意味

自分ひとりではなかなか気づけない“音の向き合い方”。
レッスンでは、先生がその手助けをしてくれます。

「この音、もっと柔らかく」
「ここのフレーズ、深呼吸するように」

そういったアドバイスがあるからこそ、演奏の世界が広がっていきます。
難しく感じずに、自分の音として練習してみてくださいね。

まとめ

  • 譜読みができたら、次は「表現」へ。
  • 1音に向き合う練習は、表現力をぐんと高めます。
  • 自分の“理想の音”を見つけていくことが、ピアノの楽しみ。

噛めば噛むほど、味わい深くなるこの練習。

焦らず、少しずつ取り組んでいきましょう。
あなたのピアノが、もっとあなたらしく響きますように。

素敵な演奏を、聴かせてくださいね。