こんにちは。いのうえちづよです。
大人の方からよくこんな声をいただきます。

「強く弾いているつもりなのに、全部同じに聞こえてしまって…」
「どうやって強弱をつければいいかわからないんです」
1. 強弱がつかない原因は「音の出し方」にある
実は、強弱がうまく出ない原因は
**“指の力加減”ではなく、“音の出し方”そのもの”**にあります。
「押し込む」ように弾いてしまうと、
音は大きくならず、ただ手に力が入るだけ。
まずは、
大きな音・小さな音をどう出すのか
その基本をやさしく見直していきましょう。
2. 大きな音は“押す”のではなく“打つ”
ピアノの鍵盤は、
力を上から“押しつけても”大きくなりません。
鍵盤の構造は、
**勢いをつけて打つ=打鍵(だけん)**することで音量が変わるようになっています。
つまり、大きな音を出すときは——
- 指先のほうへスッと力が向かう
- 上から下へ「トン」と落とすように
- 押し込むのではなく、打つイメージ
こうすると、無駄な力が抜け、
自然に響く音が生まれます。
3. 弱い音は「ささやき声のように、でもしっかり」
弱い音は「そっと弾く」だけだと
音がふにゃっとしてしまいがちです。
弱い音のコツは、
- 隣の人に“ささやき声で話しかけるような”音
- 小さいけれど、芯のある音
- 力を抜きすぎず、でも優しく触れる
強い音より、むしろ
繊細なコントロールが必要です。
最初は難しいと感じても大丈夫。
小さな音がきれいに出せるようになると、
音楽の表情がぐっと豊かになります。
4. 強弱の差をつけるための「自分の基準」をつくる
強弱をつけるときに大切なのは、
楽譜の「f(フォルテ)=強く」「p(ピアノ)=弱く」ではありません。
大事なのは——
“自分の出せる最大の音”と
“自分の出せる最小の音”の差を知ること。
これは人によって違っていて大丈夫。
- f(強く)…あなたが出せる中で「一番よく響く音」
- p(弱く)…「近くの人にだけ届くような、小さな声の音」
この2つの基準をつくっておくと、
強弱の幅が自然に生まれます。
5. 出しやすいほうから調整してOK
もしまだ指の力が弱いと、
強弱の幅をつけるのが難しいことがあります。
そんなときは、
- 大きい音が出しやすい → f を少し大きめに
- 小さい音が出しやすい → p を少し弱めに
と、出しやすいほうから調整してOKです。
いきなり完璧な強弱を目指す必要はありません。
少しずつ幅がつけば、
それだけで曲全体の表情が豊かになります。
6. まとめ|強弱がつくと、演奏がいきいき動き出す
強弱は「音楽の気持ち」を伝える大切な要素です。
- 自分の最大の音と最小の音を知る
- 押すのではなく“打つ”感覚
- 弱い音はささやき声
- 無理せず、出しやすいほうから調整する
これらを少し意識するだけで、
演奏がやさしく流れ始め、
聴こえ方がぐっと変わってきます。
どうぞ焦らず、
あなたの音の表情を少しずつ育ててみてくださいね。
強弱がつくと、あなたの演奏は一気に“表情豊か”になります。今回の記事では、大人初心者の方でも今日から試せる強弱のつけ方をやさしくまとめています。よければ練習のヒントにしてみてくださいね。


